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モフトレ通信 -Vol.004-

2020.07.14

コロナに挑む自治体の介護予防の最前線

 

後期高齢者が急増し、医療介護費の拡大が本格化するとみられている2020年代は、コロナ禍とともに幕を開けました。

 

医療介護費の増大は、保険者である地方自治体の財政を圧迫します。
そのため、多くの自治体が介護予防、自立支援・重症化防止の取り組みをいよいよ本格化させ始めています。
高齢者の方が自主的に集まる「通いの場」を活用するのもその一つ。
通いの場を通じて体操したり、社会参加する効果を可視化して、
データに基づいて介護予防の効果改善を図る仕組み作りが、多くの自治体で進んでいます(*1)。

 

こうした状況下で、今回のコロナ禍の襲来です。
デイサービスなどと同様に、集合運動をする通いの場は、まさに三密状態。全国の通いの場は一斉に休止状態に入りました。
巣ごもり状態になった高齢者のフレイル悪化が懸念されるところですが、案の定、
通所系や訪問系の介護サービスの6割以上で利用者のADLが低下しているなど、悪化を裏付ける結果が報告されています(*2)。
そこで、国も自宅でできる運動をオンラインで行うオンライン通いの場など、状況を打開するさまざまな取り組みを進めています(*3 *4)。

 

さて、自粛解除が進むいまは、ウィズコロナで介護予防がどのような方向に進むかを見通してみる良い機会です。
ずばり、私は、体操などの活動が自宅や通いの場など、さまざまなシーンに広がっていくと予想しています。
あれほど進まなかったテレワークが、自粛で一挙に進みましたが、あのような変化は確実に起こるはずです。

 

ここで、「繋がる」というキーワードを挙げたいと思います。
自宅で孤独に運動するだけではオンラインの本領発揮とは言えません。
通いの場と自宅を繫ぎ、オンラインで集団運動に参加したりすることは技術的には難しいことではありません。
高齢者や通いの場を支えるサポータ、セラピストなどの専門職、ケアマネージャーなどもオンラインで繋がって、
高齢者を支えるさまざまな連携が始まると思います。
例えば、Moffは、神戸市を土俵に、自宅で体操する高齢者を専門のトレーナがオンラインでサポートする実証実験を開始しました(*5)。

 

当然、こうした「繋がる」は皆さまの介護サービスでも加速してくる筈です。
専門職がICTを活用して自宅訪問する介護職と連携する生活機能向上連携加算が2019年から始まりましたが、
まだ算定する事業者は数パーセントと少ないようです。
しかし、通所系と訪問系が担う役割に微妙な変化が生じるウィズコロナでは、
この算定が急増するのでは、というのが私の見立てです。

 

ここでご紹介した介護予防に向けたサービスを、MoffとMRIで共同開発中です。
今後のリリースにもご注目ください。

 

(*1) 「いきいき」地域の力を介護予防へ活かす 三菱総合研究所マンスリーレビュー 2019年12月号 
(*2) 新型コロナウイルス感染症が介護・高齢者支援に及ぼす影響と現場での取組み・工夫に関する緊急調査【介護保険サービス事業所調査】調査結果報告書(2020年6月9日) 
(*3) 全国の体操動画やリーフレットの紹介 
(*4) オンライン通いの場アプリケーション 
(*5) 神戸市「モフトレ・パーソナル」実証実験開始 
                                                         以上

(文/(株)三菱総合研究所イノベーション・サービス開発本部 主席研究員 飯村次郎)