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モフトレ通信

モフトレ通信 -Vol.015-「介護ICT活用術を聞く」

2021.02.02

介護ICT活用術を聞く

 

 ウィズコロナ下で介護業界でもデジタルシフトが進んでいます。そこで、積極的にICT活用を進めているモフトレの先進ユーザの皆様に、その活用術をお伺いするシリーズをお届けしています。今回は、北海道内で介護事業を展開する白ゆりグループ・ライフプレステージ白ゆり乃木(http://www.shirayuri.gr.jp/facility/index28.html)の施設長である松田さんにお伺いしたお話のレポートです。

 

効果を可視化する

 

 白ゆり乃木が提供するサービスの差別化ポイントは、天然温泉と充実した機能訓練サービス。サービス価値が明確な天然温泉に対し、機能訓練サービスでは、効果を客観的に可視化することでサービス価値を訴求されています。モフトレチェックを利用し、歩行能力などが維持できていることを客観的に提示することで、ご利用者やご家族の満足度を獲得することに成功しているのです。この取組を継続できている秘訣について、松田さんは「記録やデータ管理の負担がかからないことと、スタッフも効果を確認できるためモチベーションを高められること」と話してくれました。差別化しているサービスに焦点をあてて、効果の可視化や継続できる仕組みを作り上げているあたりに、ICT活用の戦略性を感じます。

 

 モフトレを利用している他のご施設には、客観的なモフトレのデータと同時に、楽しく体操している動画をご家族にお見せしている事例もあります。ICTを活用した効果の可視化と言っても、客観・主観、硬軟とりまぜた様々な工夫があるようです。

 

ICT活用は経営の意思

 

 白ゆりグループは、モフトレチェックの他にも、口腔機能向上加算のサポートシステムや入居利用者の見守り用ベッドセンサーなど、ICT活用には極めて積極的です。その理由について、松田さんは「経営の意思」と即答してくれました。松田さんの施設の経営者は、介護業界とは異なる業界出身であることもあり、介護現場の実情を優先しつつも、業務の標準化や効率化、介護で収集する情報の統一化など、ICT活用を通じた収益基盤の強化にアグレッシブだとのこと。白ゆりグループの企業理念に「顧客志向に則り、信用を基盤として、情報を収集・分析し、行動する」という言葉を見つけたときは、さすがに筆者も驚きました。介護業界でも、今後はこうした経営者が増えてくるのでしょうか?

 

 モフトレをご利用いただいている多くの事業者様について言えることですが、最初は現場スタッフの方から強い抵抗があります。松田さんも同じような経験をされていましたが、「経営が狙っていることをきちんと話し、現場に定着するのを我慢強くサポートする」(松田さん)ことで、約1か月で運用が定着できたそうです。介護業界の経営者は、現場主義の方が多く、現場スタッフの意向を非常に大事にする方が多いと思いますが、モフトレをご利用されているご施設の経営者の方に限ると、「経営が狙っていることをきちんと話す」という点では、かなり共通性があることが分かってきています。

 

以上

 

(文/(株)三菱総合研究所イノベーション・サービス開発本部 主席研究員 飯村 次郎)

 

過去に配信した記事はこちらです

-Vol.001-「コロナ撲滅!職員・利用者が団結して立ち向かうデイサービス奮闘記」

-Vol.002-「ピンチをチャンスに!高まる訪問看護需要への応答」

-Vol.003-「コロナで忍び寄る身体リスクを跳ね返す自宅トレーニング」

-Vol.004-「コロナに挑む自治体の介護予防の最前線」

-Vol.005-「コロナ渦における新たな取り組み! “オンライン認知症カフェ”」

-Vol.006-「介護現場にPDCAを!~生産性向上ガイドラインのご紹介~」

-Vol.007-「できることから始めてみましょう!”科学的介護”の実現に向けた政策動向」

-Vol.008-「保険外サービスで潜在顧客にリーチ!」

-Vol.009-「事業者の皆様、新しいサービス開発の機会です!」

-Vol.010-「本格化目前! 高齢者の自宅トレーニング」

-Vol.011-デジタル社会における、高齢者の健康

-Vol.012-「利用者様のデータ分析による適切なケアの検討・効果検証」

-Vol.013-「51:49でも勝ち/価値」

-Vol.014-「自治体側からみた介護予防」