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モフトレ通信 -Vol.023-「コンティニューケアの実践~予防と介護の継続性~」

2021.06.29

孤立状態の回避と幸福感向上には相関があり、デジタルの重要性が高まる

 

住み慣れた地域で、自身の能力に応じて自立した生活を続けたい。この願いをかなえるために、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される地域包括ケアに向けた取り組みが全国の地域で展開されています。このうち今回着目するのは、予防と介護を包括したコンティニューケア(介護の継続性)です。6つのサービス機能を併設した最先端の高齢者福祉複合施設を拠点に、地域に密着してコンティニューケアを実践する社会福祉法人和敬会なごみの郷(http://www.wakyokai.or.jp/nagomi/)の太田施設長にお話を伺ったレポートです。

 

【複合サービスでコンティニューケアを実現する】

なごみの郷の特徴は、特養老人ホーム、ショートステイ、グループホーム、小規模多機能型居宅介護、デイサービス、そして総合事業(「通所型サービスA」)という6つのサービス機能を併設することで、元気な時期から常時介護を必要とする時期までのコンティニューケアを実現していることです。事業領域を積極的に介護予防にまで拡げ、デイサービスと総合事業では、リハビリや機能訓練に特化したプログラムに力を入れています。

 

【継続性を見える化する】

予防と介護の継続性を確保するために、太田施設長曰く「ご利用者の介護レベルに合わせた状態把握の継続性がポイント」とのこと。例えば、予防と介護の接点となる総合事業やデイサービスでは、3か月に1回体力測定を実施し、その結果に基づき専門の理学療法士が一人ひとりの運動プログラムを用意するだけでなく、身体の不自由の改善や体力維持といった成果を客観的に把握できるようにしています。太田施設長のお話からは、こうした客観的な成果を共有することで、元気を維持したい利用者と理学療法士が相互にモチベーションを高め合っている様子が伝わってきました。

 

【介護予防を推進する自治体側にも課題が】

コンティニューケアを意識した事業所の存在は、地域包括ケアを進める自治体にとっても貴重です。機能訓練強化に成果を上げている事業所を増やし、介護予防にかかわる地域資源の層を底上げする必要があります。この観点では、総合事業で自治体が持っている裁量の範囲で、成果に応じた事業者に対するインセンティブを増やす、などの取り組みが期待されるところです。

 

以上

 

(文/(株)三菱総合研究所イノベーション・サービス開発本部 主席研究員 飯村 次郎)

 

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