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モフトレ通信 -Vol.018-「レスパイト型デイからの脱却!利用者のQOL向上を目指し、モフトレを試行中」

2021.03.16

レスパイト型デイからの脱却!利用者のQOL向上を目指し、モフトレを試行中

 

 介護業界でもデジタルシフトが進む中、ICT活用を積極的に進めているモフトレユーザにその活用術をお伺いするシリーズです。今回は佐賀県佐賀市で介護事業を展開する社会福祉法人 佐賀キリスト教事業団のシオンの園デイサービス大和の塚本さんに、モフトレ導入経緯や現在の試行状況、今後の活用の方向性についてお伺いしました。

 

レスパイト型デイから脱却しようとしたきっかけは?

塚本さん)
 5年前はレスパイト型のデイサービスでしたが、売上を伸ばすという経営的なプレッシャーがあり、今後このままではやっていけない、自事業所の売りは何かを考えました。デイサービスは売れるものが出尽くしていて差別化が難しかったため、「利用者のQOLの向上」という介護保険の理念に立ち返りました。つまり、機能訓練等を通じて利用者の自立支援を目指し、機能訓練を売りにすることにしたのです。具体的にはセラピストを増やして、機能訓練を強化しました。
 また、職員への啓蒙・教育にも力を入れました。機能訓練を通じて何を目指すのかを議論し、例えばそれまでの目標でありがちだった「利用者さんの笑顔が増えること」という主観的な目標から、「利用者さんが家族と食事に行ける身体を作る」という客観的に評価できる目標に変え、そのために必要な機能訓練を考えるよう職員に啓蒙しました。取り組み開始当時は施設内で勉強会・研修を多く開催する、カンファレンスの時間を長めに取るなどし、利用者の課題、そのための支援策を徹底的に検討しました。
 こうした取り組みの結果、「利用者を楽しませる」というレスパイト型の考え方から、「日常生活を活発に過ごせるようになっていただく」という考え方に、職員が徐々に変わっていきました。職員だけでなく、利用者の家族にも理解を促しました。我々の考えとして、通所介護はあくまで在宅サービスであり、介護は家族が行い、その支援を事業所が行うという方針です。こうした方針を家族にも理解を促し、取り組みを続けました。

 

シオンの園デイサービスの基本的な考え方を教えてください。

塚本さん)
 ①高齢者のQOLの向上を基本目標とし在宅生活を支えていくこと
 ②通所介護の基本的な項目、リハビリテーション・口腔機能向上・栄養管理・認知機能の向上等の基本項目の取組強化
 ③適切な評価のできる仕組み作り(根拠ある介護の実践)
 ④改善を伴う介護の実戦
 になります。シオンの園では、介護職員、セラピスト、看護職員の役割を明確にしつつも、同じ利用者を支援するという点で連携するところは連携し、ただし、その役割の中心を介護職員としています。
 私は、介護職員の目的意識を改革し、根拠に基づいた支援ができる職員を育成しなくてはならないと思っています。自分たちの業務から派生する効果を客観的に実感し、評価を見える化することでそのモチベーションを高めることが重要だと思っています。

 

モフトレの導入経緯は?

塚本さん)
 こうした取組を5年間続けたのですが、利用者の評価が最終的な課題として残りました。専門的評価はセラピストでもできるのですが、セラピストは介助業務にも携わっているので評価をする時間がなかなか取れません。こうした中でモフトレを紹介してもらい、簡便に評価できるのではないかと考え、導入に至りました。

 

モフトレの導入効果は?

塚本さん)
 モフトレの導入当初は特に評価が必要な方を中心に使っていただき、その後に他の利用者にも広げていきました。導入して1年程度立ちますが、通信環境の影響などがあり、まだモフトレをフルに使い切れていません。ただ、モフトレで日々取得したデータをカンファレンスに使えるようにしていきたいと思います。最終的には、リハビリテーション・口腔機能・認知機能の数値化を目指しています。シオンの園が力を入れているこの3つを時系列に見ることで、利用者の状態をより把握できると思っています。

 

今後の方向性は?

塚本さん)
 VISIT・CHASEについては、加算を取得するのはもう少し先にして、職員の理解を優先しようと思います。まずはモフトレを使いこなし、職員の理解を促進した上で事業所の加算取得につなげ、最終的には利用者へのフィードバックにまでつなげたいと思います。

 

(終わり)

 

シオンの園デイサービス大和の塚本さんに、モフトレ導入経緯や現在の試行状況、今後の活用の方向性についてお伺いしました。
特に、モフトレ活用を組織内で浸透させるためのこれまでの経緯は参考になるポイントが多かったと思います。
是非読者の皆様にもお役立て頂ければ幸いです。

 

以上

 

(文/(株)三菱総合研究所ヘルスケア・ウェルネス事業本部 主任研究員 川邊 万希子)

 

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