Moff

       

お問い合せ

モフトレ通信

モフトレ通信 -Vol.021-「孤立状態の回避と幸福感向上には相関があり、デジタルの重要性が高まる」

2021.04.28

孤立状態の回避と幸福感向上には相関があり、デジタルの重要性が高まる

 

コロナの影響によって、これまでの親戚、地元、社会とのつながりといった従来型のコミュニティを基盤としてきた生活が激変し、個々人の「社会的孤立リスク」が高まっています。

 

三菱総合研究所では、これを「つながり力」と定義し、2020年に実施した調査では、「友人・知人(家族を含まない)と2~3日に1回以下しか話をしない」という社会的孤立状態にある人は19.6%、孤独感が高い人も24.7%に達していました。孤独感は同居家族がいても必ずしも解消されず、親世代と同居している人(三世代同居等は除く)でも孤独感が高い人が34.8%に達しています(*1)。このような人々は、「つながり力」が低く、より一層孤独を感じていると思われます。

 

この孤独感と幸福感には負の相関があり、従来型のコミュニティが主たるつながりの場になっている人にとってはこのつながり力をいかに高められるかが幸福感の増加にもつながります。

 

人によっては、このリスクがむしろ低くなる可能性があることがわかりました。在宅勤務に代表されるように、デジタル技術の高度化と活用によって、必ずしもリアルなつながりがなくともコミュニケーションがとれ、あらたなコミュニティが数多く生まれています。これらをうまく活用している人たちがいます。デジタルだからこそ、自分の嗜好にあわせて同時に複数コミュニティに参加でき、そこからの脱退も容易です。アバターと呼ばれる自分の分身が参加することであたかも複数の人格を持つようなことが可能となってきています。

 

デジタルは今後の孤立状態回避において重要な技術であり、個々人のつながり力、すなわち幸福感により大きな影響を与えると考えます。つながり力が低いといって一面的にとらえるのではなく、自分の趣味、趣向、経験等、自分が必要とするコミュニティに参加しやすいようなデジタルの活用が、あらたな社会基盤の安定と成長につながると期待します。

 

(*1) 50周年記念レポート、目標B:[多様性の尊重とつながりの確保]

 

以上

 

(文/(株)三菱総合研究所イノベーション・サービス開発本部 チーフ事業開発マネージャー 木田 幹久)

 

過去に配信した記事はこちらです
モフトレ通信バックナンバー