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モフトレ通信 -Vol.011-「デジタル社会における、高齢者の健康」

2020.10.20

デジタル社会における、高齢者の健康

 

2020年に起こった新型コロナウィルスは急速なデジタルシフトを日本にもたらした。テレワークの加速的な導入や、デジタル活用に取り組む介護事業者が出てきている。このデジタル化の流れは、ウィズコロナの時代においても進んでいくと思われ、高齢者であってもデジタル化する社会の中で生活することになる。

 

高齢者のデジタル活用がもたらす影響の研究の中で代表的なものとして、川村学園女子大学文学部の桂瑠以准教授の研究があげられる(*1)。本研究の中で、70代、80代に関してはネットの使用が多いほど社会的活動を介して精神的健康が高まること、また全ての年代で外出頻度が多いほど精神的健康が高まること等が示されている。

 

実際にコロナ禍において、デイサービス事業者の利用者同士で各種SNSやLINEなどのメッセージツールを活用して、コミュニケーションをとっていた事例もあった。今後このようなデジタルコミュニティなども浸透していくだろう。

 

一方、パソコンやスマートフォン等を活用した在宅トレーニングに関しては、中々苦労が多いようである。在宅トレーニングの実施にあたっては、「①デジタル機器の活用へのハードル」と、「②在宅トレーニングを行う場合モチベーションが上がらない」、の2種類のハードルがある。特に②のハードルに関しては、他のトレーニング仲間やトレーナがいるから、やる気になるということが背景にあり、既存のデジタル機器ではリアルと同等の効果までは難しいようである。

 

ただし、デジタル化はまだ始まったばかりである。今後はデジタルとリアルの融合をめざし、在宅であってもリアルの場と同等の一体感、更にはリアルのデイサービスの場でもデジタルを活用した、更なる一体感やトレーニング効果の向上が生まれる仕組みの開発などが期待される。

 

(*1) 桂 瑠以, 橋本 和幸.高齢者のインターネットの使用が社会的活動及び精神的健康に及ぼす影響の検討.情報メディア研究 18巻(2019)1号.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jims/18/1/18_1/_article/-char/ja
(J-STAGE 閲覧日:2020年10月13日)

 

以上

 

(文/(株)三菱総合研究所 経営イノベーション本部 シニアプロデューサー 藤本 敦也)

 

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